コーヒー1杯分の幸せを作ろう

3児の育休ママが、コーヒー1杯分の時間やお金を作るために役に立ったものたちを、挫折や試行錯誤の経験を交えながら紹介します。

女の手

女性の年齢は、手に表れる。

 

昨今はマスクのお陰で最も年齢の出やすい口元を隠すことが可能となり、若作りが容易になってきた。ひとまず服装をこざっぱりとさせ、髪型さえくたびれていなければ、年齢は誤魔化せる。きめ細やかな肌さえ保っていれば、10歳は実年齢よりも若くみえるのではないだろうか。

 

一方で、綺麗な人だなぁと思ってふとその手を見やると、まるで樹木の年輪のごとく皺が深々と刻まれていて、ハッとすることも増えた。悩みなど何も無い完璧な女性と見せて、実生活では虚ろな目でポテトチップスを無心で頬張っている姿が浮かぶようで、つい思いを馳せてしまう。小綺麗な女性でも、手が乾燥していたり日焼けしていたりすると、惜しいんだよなぁ……と、自分を棚に上げて女子の評論会を催す男子高校生のような感想を漏らしてしまったりする。

 

ハンドモデルをしている職業を生業としている人が、以前テレビで語っていた。外を出歩く時は、夏場であろうが冬場であろうが、絶対に手袋は欠かさないのだという。また常にハンドクリームを持ち歩いていて、こまめに保湿をしているのだとか。彫刻のような完璧さを備えた手は確かに美しいのだが、それだけを美しさの規格としてしまうのは、浅はかな気がしてしまう。

 

手は、まるで池のようだ。やりきれない疲れと語られない実生活で濁った水が溜まり、池ができる。手に刻まれた皺や日焼けからは、水底まで見ることのできる透明な美しさこそないが、池の底深くに眠っている精霊のような尊さを感じるのだった。