コーヒー1杯分の幸せを作ろう

3児の育休ママが、コーヒー1杯分の時間やお金を作るために役に立ったものたちを、挫折や試行錯誤の経験を交えながら紹介します。

都合のいい脳みそ

南町田のmontbellで、カヤックの体験をしてきた。

 

お店の傍に小さな池が設置してあり、店員さんが指導してくれる。見ていた時には簡単だろうと思っていたが、4歳の長男と一緒にボートに乗り込んでみると、見ていた時には簡単だろうと思っていたが、やってみると案外難しい。ボートなんていう優雅な名前ではなく、戦艦という名前がぴったりである。他の人にぶつかったり、壁にも激突ったりと、悪戦苦闘しながら戦艦の操縦に慣れてきた頃、息子から「もう怖いから降りたい…」という声が上がった。開始してから、たった5分後の出来事である。

 

確かに「ぎゃあ、転覆する!」とか「やばい、ぶつかる!」とか母親が後ろで叫んでいる中で乗っていた彼からしたら、ただの恐怖体験でしかなかったのかもしれない。そんなこんなで、初のカヤックは往復1時間かけて向かった場所で、ものの5分で終了となった。

 

5分で終了したにもかかわらず、私は充実感で満たされていた。脳みそというのは都合がよくできていて、きっと30年後には一瞬で終わった事実は忘れ去り、息子と二人で楽しんだ、という都合のいい記憶だけが残るのであろう。巻き添えにされた息子には、強風にあおられながら母親の叫び声を聞きつつ、転覆の恐怖と隣り合わせで過ごした時間、というトラウマだけが残ったかもしれないが。

 

脳の”忘れる”という機能は、生きていく上で、必須なんだろう。全てを覚えているなんて、SFの世界ではよくある話だが、きっとものすごくしんどい。忘れたい記憶なんて、たくさんある。生理の血がべっとりとスカートについていることに帰宅してから気づいた事、好きな男の子について書いた友達への手紙が拾われて、クラス全員にバレた事……ふとした瞬間に思い出してしまって、頭を抱えるなんてしょっちゅうだ。

 

子供との時間も、同じようなものだ。思い通りにならないジレンマと、良い母親になれないフラストレーションを感じる中、たまに訪れる幸せを発掘して、宝箱に大切にしまって生きていく。そんな生き方でいいのではないのだろうか。その方幸せに老いていける気がする。

 

このカヤックの体験、南町田にあるクランベリーパークというアウトレットの中にあるmontbellで行われていた。当初のアウトレットへ行った目的は、私はカヤックだったのだが、夫は私に新しい服を買って欲しかったらしい。私が週7日、上下全く同じ服を着ており、しかもその色がくすんできて、見るに耐えなくなってきたとのこと。ちなみに着ているのはユニクロの灰色のパーカーと、3箇所穴が空いている茶色のパンツである。この服たちも、こんなに着られるとは購入時には想定していなかっただろう。

 

春だし心機一転、赤や黄色やオレンジの服を買いたかったのだが、夫曰く「髪の色が明るいから、服まで明るくなると原宿にいそうな人みたいになる」と言われ、好みの服が全く合わない。こっちは早く、くすんだ色の服(元々なのか、経年劣化かすら不明)とおさらばしたいのだ。結果、腰痛対策の椅子と足タコ防止の靴下を買って、買い物は終了した。洋服屋で費やした時間よりも、健康用品店で費やした時間の方が2倍ほど多かった。

 

自分の身なりよりも、健康にお金を使う。都合の悪いことは忘れて、都合のいいことだけを覚えて生きていく。思考回路だけでなく、買い物一つとっても年をとったな、と実感する1日であった。